実は、骨粗しょう症などの治療で使われるお薬を服用中の方は、抜歯などの処置を行う際に少し注意が必要です。今回は、患者さんにぜひ知っておいていただきたい「お薬と歯科治療」の話をお伝えします。
この記事を読んで不安になった方も、絶対に、ご自身の判断でお薬をやめないでください。お薬は必要があって処方されています。まずは歯科医師と、処方された医療機関にご相談いただくことが何より大切です。
骨を強くするお薬と、歯科治療の関係
骨粗しょう症の治療や、がんの治療の一環として、骨に作用するお薬が処方されることがあります。骨がもろくなるのを防ぎ、骨折を予防する大切なお薬です。
ただし、こうしたお薬を使用している方が抜歯などの外科的な処置を受けた場合、まれにあごの骨が治りにくくなり、炎症が続いてしまうことがあります。これは「薬剤関連顎骨壊死(がっこつえし)」と呼ばれています。
こうした状態が起こる頻度は決して高いものではありません。過度に心配される必要はありませんが、「起こり得ることを知っておく」「歯科に必ず伝える」ことで、リスクを下げながら安全に治療を進められます。
「飲み薬だけ」ではありません
意外と見落とされやすいのが、注射のお薬です。骨に作用するお薬には、毎日・毎週飲むタイプのほかに、月に1回や半年に1回の注射というかたちのものもあります。
「薬は飲んでいません」とおっしゃる方でも、実は定期的に注射を受けているというケースは少なくありません。
「薬を止めればいい」という考え方は変わりました
以前は、抜歯などの処置の前に、骨のお薬を一時的に止めるという考え方が一般的でした。しかし現在は、その考え方が見直されています。
その理由は、お薬を止めることで骨折のリスクが高まってしまうためです。骨折をきっかけに寝たきりになってしまえば、かえって健康を損なうことになりかねません。
そのため現在は、予防のためにお薬を止めるのではなく、適切な感染対策と処置によって安全に治療を進めるという考え方が主流になっています。
「歯の治療をするから」といって、ご自身の判断でお薬をやめたり減らしたりすることは絶対におやめください。必要な判断は、歯科医師と処方された医療機関の医師が行います。まずはご相談ください。
いちばんの対策は「治療が必要な状態にしないこと」
ここまでお読みいただいて、「では、どうすればいいの?」と思われたかもしれません。答えはシンプルです。
抜歯が必要になる前に、お口の状態を整えておくこと。これが何よりの対策になります。
むし歯や歯周病を早めに見つけて対応できれば、抜歯という選択を避けられる可能性が高まります。
これから骨のお薬を始める予定がある方は、その前に一度歯科でお口の状態を確認しておくと安心です。
お口の中を清潔に保つことが、感染のリスクを下げることにつながります。
あごの痛み、歯ぐきの腫れ、なかなか治らない傷などがあれば、早めに歯科でご相談ください。
ホワイト歯科グループ 各院のご案内
お薬のことでご不安がある方も、どうぞご相談ください。ホワイト歯科グループには口腔外科を専門とする歯科医師が在籍しております。
「こんなこと言っても大丈夫かな」ということは何もありません。お薬の情報は、患者さんに安全な治療をお届けするために欠かせないものです。お薬手帳をお持ちのうえ、お気軽にご来院ください。
- ▸東京歯科大学口腔外科 名誉教授
- ▸東京歯科大学卒業・歯学博士
- ▸ドイツ ハノーバー医科大学 留学
- ▸元 東京歯科大学口腔外科 教授
- ▸元 東京歯科大学市川総合病院 口腔がんセンター長