実はお口の粘膜(歯ぐきや頬の内側、舌など)には、体からの大切なサインが現れることがあります。今回は、ご自身で鏡を見ながらチェックできる「お口の粘膜のサイン」と、高齢の方に知っておいてほしいお口のケアについてお伝えします。
お口の粘膜は「色・形・硬さ」で見る
お口の中の粘膜は、皮膚と同じような組織でできていますが、とても薄いため、下の血管が透けてうすいピンク色に見えます。これが健康な状態です。
この粘膜に変化が起きたとき、私たち歯科医師は「色」「形」「硬さ」の3つに注目します。中でも、ご自身でも気づきやすいのが「色」の変化です。
鏡でチェック|気をつけたい粘膜の「色」
お口の中に、いつもと違う色の部分はありませんか。それぞれの色には意味があります。
粘膜の表面が厚くなった状態のことがあります。口内炎の白さは皮がめくれた「かさぶた」のようなもので、こすると取れます(痛みは伴います)。こすっても取れない白い変化が続く場合は、一度歯科でご相談ください。
粘膜が薄くなり、炎症が起きている状態のことがあります。白い変化よりも注意が必要とされています。なかなか治らない赤い部分がある場合は、早めに歯科でご相談ください。
銀歯などの金属の色が粘膜に移っただけのものは心配ないことが多いですが、表面がポコッと盛り上がった、濃い黒色の変化は早めの受診をおすすめします。
脂肪の集まりなど、心配のいらないものが多い色です。ただし気になる場合は、自己判断せず歯科でご確認ください。
ここでご紹介したのは、あくまで「気づくためのきっかけ」です。粘膜の変化は見た目だけで判断できるものではありません。2週間以上治らない変化がある場合は、自己判断せずに歯科医院でご相談ください。早めに気づくことが何よりも大切です。
「食べていないのに」起こる誤嚥性肺炎
誤嚥(ごえん)というと、「食事中にむせること」を思い浮かべる方が多いと思います。しかし実は、眠っている間に、無意識のうちに少量の唾液が気管に流れ込んでいることがあります。
このとき、お口の中が汚れていたり乾燥して細菌が増えていると、その細菌が肺に入り込み、肺炎(誤嚥性肺炎)を引き起こすことがあります。つまり「食事をしていなくても」お口の汚れが肺炎の原因になり得るのです。
だからこそ、歯みがきは「歯を守るため」だけでなく、全身の健康を守るためのケアでもあります。
お薬の影響で、お口が乾いていませんか
高齢になると、複数のお薬を飲んでいる方が増えます。血圧のお薬や睡眠を助けるお薬などには、唾液の分泌を抑えてしまう作用を持つものがあります。
唾液には、お口を洗い流し、細菌の増殖を抑える大切な働きがあります。唾液が減ってお口が乾くと、細菌が増えやすくなり、口臭・むし歯・歯周病、そして先ほどの誤嚥性肺炎のリスクにもつながります。
お口の乾きが気になっても、処方されたお薬を自分の判断で減らしたりやめたりしないでください。まずは歯科や、処方された医療機関にご相談ください。こまめな水分補給や保湿でやわらげられることもあります。
介護施設でも、お口のケアは見落とされがち
「施設に入っているから安心」と思われがちですが、介護スタッフの方々は日々の業務でとても忙しく、入居されている方のお口の中まで丁寧に確認する余裕がないのが実情です。
体を動かす体操のメニューは掲示されていても、お口の体操については触れられていない施設も少なくありません。だからこそ、ご家族の目や、歯科の専門的な関わりが大きな助けになります。面会の際に、少しお口の中を見せてもらうだけでも変化に気づけることがあります。
お口の元気を保つ「パタカラ体操」
お口や飲み込みの機能を保つために、ご家庭でもできるのが「パタカラ体操」です。単なる発声練習ではなく、それぞれの音に意味があります。
また、お水を含んで「ブクブクうがい」ができるかどうかも、唇を閉じる力やお口の機能を確認する簡単な目安になります。ご家族と一緒に、食事の前の習慣にしてみてください。
ホワイト歯科グループ 各院のご案内
熊本市内3院で診療しています。お近くの医院までお気軽にお問い合わせください。
お口の粘膜の変化は、早めに気づくことがとても大切です。ホワイト歯科グループには口腔外科を専門とする歯科医師が在籍しており、粘膜のご相談も承っています。ご自身のことでもご家族のことでも、どうぞお気軽にお声がけください。
- ▸東京歯科大学口腔外科 名誉教授
- ▸東京歯科大学卒業・歯学博士
- ▸ドイツ ハノーバー医科大学 留学
- ▸元 東京歯科大学口腔外科 教授
- ▸元 東京歯科大学市川総合病院 口腔がんセンター長