お子さんの歯並びについて、保護者の方からいちばん多くいただく質問です。そして、いちばんお答えが難しい質問でもあります。
ひとつだけ、先にお伝えしておきたいことがあります。「成長すれば治りますよ」とは、簡単には言えません。なぜそう言えないのかを、順番にご説明します。
まず、歯並びの「気になる」には種類があります
ひとくちに歯並びといっても、状態によって呼び方も対応も変わります。代表的なものがこの3つです。
いわゆる「ガタガタ」「乱ぐい歯」。顎の大きさに対して歯が並びきらない状態です。八重歯もここに含まれます。
いわゆる「出っ歯」。前歯が前に出ている状態です。
いわゆる「受け口」。下の歯が上の歯より前に出ている状態です。
乳歯の歯並びは、すきまがあるのが正常です
ここは、とても誤解されやすい点です。
乳歯がきれいに隙間なく並んでいると、見た目には「いい歯並び」に見えます。ところが実際は逆で、乳歯の時期は歯と歯のあいだにすきまがあるのが正常です。このすきまは霊長空隙・発育空隙と呼ばれ、これから生えてくる大きな永久歯のための余地にあたります。
乳歯がぴったり並んでいる場合、永久歯に生え替わったときに並びきらない可能性があります。「今きれいだから大丈夫」とは限らないということです。
「成長すれば治る」とは言えない
この記事でいちばんお伝えしたいのが、ここです。
お子さんの顎は確かに成長します。けれど、成長する=歯並びが整う、ではありません。成長の方向や量によっては、むしろ差が開いていくこともあります。
たとえば、受け口を気にして9歳で来院されたお子さん。成長とともに骨格のずれがかえって大きくなり、最終的に外科的な処置を含む矯正が必要になることがあります。
こうしたときに効いてくるのが、最初の時点で「顎の成長があるので長期の経過観察が必要です」とお伝えしてあるかどうかです。見通しを共有できていれば、途中で何が起きても納得して進められます。
つまり大事なのは「治るか治らないか」の断定ではなく、どう変わっていくかを見ていける状態にしておくことです。
顎が伸びるのは、身長が伸びる時期
では、タイミングの話をします。
顎の骨がもっとも成長するのは、身長が伸びる時期とほぼ同じです。思春期の成長スパートに重なります。
男女で2年ほどずれるため、同じ学年でも状況はまったく違います。「お兄ちゃんのときはこうだった」が当てはまらないのは、このためです。
この成長の波をどう使うかが、お子さんの矯正の考えどころになります。待つべき時期と、待ってはいけない時期があるということです。
見逃すと、隣の歯がダメになることがあります
これが、今回いちばんお伝えしたい部分です。
ある大学病院の統計では、来院するお子さんのおよそ1割に、永久歯がうまく生えてこない(萌出不全)などの問題が見つかっています。そしてそのうちの約3%は、放置すると隣の歯まで傷んでしまうケースでした。
全体から見れば、ごく一部です。だからこそ見逃されます。
こうしたケースは外から見ただけでは分かりません。歯ぐきの中で永久歯がどこを向いているか、隣の歯の根を押していないか——これはレントゲンを撮って初めて見えるものです。
「歯並びが気になる」で来ていただいたときに、こちらが本当に探しているのは、こういう見えない問題です。
では、いつ相談すればいいのか
「何歳から矯正を始めるべきですか」とよく聞かれます。ただ、この問いは少し立て方を変えたほうがいいかもしれません。
始める時期を決めるために相談するのではなく、いつ始めるべきかを見極めるために、早めに見せておく。順番が逆なのだと思います。
相談した結果が「今は様子を見ましょう」でもかまいません。見ないで様子を見るのと、見たうえで様子を見るのは、まったく別のことです。
ホワイト歯科グループでは、お子さんの歯並びのご相談を承っています。レントゲンで永久歯の位置と向きを確認し、今どの段階にあるのか、いつまでに何を判断すればよいのかをご説明します。まずは現状を知っていただくところからです。
・矯正治療は原則として自由診療(保険適用外)です。費用は検査・診断のうえ、治療完了までの総額をお見積もりとしてご提示します。金額については、どうぞお気軽にご相談ください。
・主なリスク・副作用:装置の使用中に痛みや違和感が出ることがあります。装置が当たって口内炎ができることがあります。装置まわりは汚れがたまりやすく、虫歯・歯ぐきの炎症のリスクが上がります。顎の成長によって治療計画の変更や、成長終了後の再治療が必要になる場合があります。お子さんの協力度によって結果と期間が変わります。
・治療期間・結果には個人差があります。
・顎変形症など一部の症例は健康保険の対象となる場合があります。
- ▸東京歯科大学口腔外科 名誉教授
- ▸東京歯科大学卒業・歯学博士
- ▸ドイツ ハノーバー医科大学 留学
- ▸元 東京歯科大学口腔外科 教授
- ▸元 東京歯科大学市川総合病院 口腔がんセンター長