実はこれ、現代人に急増している「顎関節症(がっかんせつしょう)」のサインかもしれません。「放っておけば治る?」「手術が必要になったらどうしよう…」と不安になる前に、ぜひこの記事を読んでみてください。
昔と今では大違い!顎関節症治療の「常識」が変わった
実は1980年代ごろ、顎関節症には「手術で治す」という治療が流行した時期がありました。しかし、手術をしたことでかえって経過が悪くなるケースが多発しました。
その反省から、現在の世界のスタンダードは「メスは極力入れず、生活習慣やクセを改善して治す」方向へと180度変わっています。マウスピースを作るだけ・薬を出して様子見、ではなく、根本にある「原因」を自分でコントロールしていくことが、今の顎関節症治療の基本です。
顎関節症は「特別な病気」ではありません。現代のストレス社会や無意識のクセが生み出す、生活習慣と深く関わった症状です。
あなたのあごはどのタイプ?顎関節症の「4つの正体」
顎関節症と一口に言っても、原因は主に4つに分かれます。大半の方は①か③に当てはまります。
ほっぺた(咬筋)やこめかみ(側頭筋)など、あごを動かす筋肉がガチガチに疲労して痛みを出すタイプ。
関節そのものや周囲の靭帯がダメージを受けて痛むタイプ。
関節の間にある「関節円板」という軟骨のクッションが前にズレてしまうタイプ。口を開け閉めするたびに「カクカク」と音が鳴ります。
症状が進行し、関節の骨そのものがすり減ったり変形してしまったりする重症タイプ。
最大の原因は「無意識のクセ(TCH)」だった
少し意識してみてください——今、上下の歯がくっついていませんか?
実はリラックスしている状態のとき、上下の歯の間には「数ミリの隙間」があるのが正常です。食事以外の時間で歯が触れ合うのは、1日わずか15〜20分程度が理想とされています。
ところが、パソコンやスマホに集中しているとき、家事をしているとき——無意識のうちに上下の歯をくっつけたり、軽く食いしばったりしている方がとても多いのです。これを「TCH(歯列接触癖)」と呼びます。
今すぐできる「あごのセルフケア」2つ
顎関節症は生活習慣病のようなもの。歯科でのケアに加えて、自宅でのセルフケアがとても重要です。
唇は閉じたままでOK。上下の歯だけをフッと離す練習を。パソコンや冷蔵庫など目につく場所に「歯を離す!」と書いた付箋を貼って、無意識のTCHを断ち切りましょう。
ほっぺた(咬筋):エラから少し上の、奥歯を噛むと硬くなる部分を指の腹で優しく円を描くようにマッサージ。
こめかみ(側頭筋):頭の横の部分をシャンプーするように優しくもみほぐします。
※痛みが強い急性期は無理に動かさず、安静にするか歯科医院へ。
知っておきたい「2つの大切な事実」
痛みがおさまり、口が大きく開くようになっても、一度ズレて変形したクッション(関節円板)は硬くなるため、「音」だけは後遺症として残ることがよくあります。
痛みがなく、指が縦に3本分(約40mm以上)口が開けられれば日常生活に支障はありません。音が鳴り続けることを気にしすぎず「うまく付き合っていく」のが正解です。
小さなお子さんが転んであごを強く打ったときは、必ず早めに歯科・口腔外科を受診してください。子どものあごの関節には「成長のポイント」が集中しており、ここを傷つけると将来あごの骨が正常に成長せず、口が開きにくくなるリスクがあります。
マウスピースや薬だけでなく、生活習慣のクセまで一緒に考えてくれる歯科医院が、顎関節症解決への近道です。ホワイト歯科グループでは口腔外科にも対応しており、顎関節症のご相談も承っています。お気軽にお声がけください。
- ▸東京歯科大学口腔外科 名誉教授
- ▸東京歯科大学卒業・歯学博士
- ▸ドイツ ハノーバー医科大学 留学
- ▸元 東京歯科大学口腔外科 教授
- ▸元 東京歯科大学市川総合病院 口腔がんセンター長